zinma Ⅱ
そこまで言うと、レイシアは一度言葉を止め、手を掲げ、指の先だけを青白く光らせる。
「ですから、『選ばれしヒト』としては、その魔力も食べなければならないんです。」
しかしそこでレイシアは光を消す。
「ですが魔力の『呪い』に関しては、長年ヒトの血に混ぜられてきたことにより、ずいぶんヒトの血になじんだようで、危険がないんです。
ですから、急ぐ必要がないので。
ゆっくり考えて、決めていただいてかまいませんよ。
もう世界にルミナ族はあなただけ。
その力をどうするかは、あなた次第なんですから。」
と、そこでレイシアは立ち上がり、祠を出て行こうとする。
それにシギは驚いて、
「どこへ行かれるんですか?」
と聞くと、レイシアは振り返り、
「とりあえず、この近くの森の中にいますよ。
どうするか決めたら、私のところへ来てください。
特別な力を持ったあなたなら、私が見つけられるはずです。」
そう言って出て行こうとするが、それをシギは引き止める。
「待ってください。」
それにまたレイシアは振り返り、シギを見る。
その目をまっすぐに見つめ、言う。
「父さんと母さんの『呪い』を返すことは、もう決心がついてます。」
それにレイシアは驚いた顔はせず、ただ眉をひそめる。
「…そうすれば、ご両親にはもう会えないんですよ?」
それにシギは、少し目をふせ、答える。
「…わかっています。
でも、いつかは失わなければならないものなのですから。
両親が果たした使命なら、私も引き継いで、果たしたいんです。」
それにレイシアは一度じっとシギを見つめると、考え込むように目を閉じる。
少しして目を開くと、その瞳は煌々と光っていた。