zinma Ⅱ
そんな疑問を思いながら、僕は師匠の攻撃を次々とよけていた。
するとそこで、考え事をしていたせいで、僕に一瞬の隙ができる。
それを師匠は見逃さず、その隙をついて僕の防御をくぐりぬける。
まずい、と思った瞬間には、僕の首に師匠が手刀を入れるところで、寸止めしていた。
僕も師匠も動きを止めると、師匠が腕を下ろし、言う。
「強くなったね、レイ。」
と、微笑む。
「いまの隙は失敗でした。」
と言って僕は笑う。
しかしそれにもファギヌ師匠は微笑んで、
「確かにたった一瞬でも隙は命とりになるけど、たった2年で君はここまで成長した。すばらしいことだよ。」
そこで僕に近づき少し小声になると、
「カリアも褒めてたしね。」
と言って笑う。
それに僕はほんとうにうれしくなって、
「ありがとうございます。」
と言う。
すると、
「聞こえてる。」
と、後ろから声がかかる。
それにファギヌと僕は振り返ると、いつの間にか小屋を出たところに、カリアが立っている。
紺色の真っすぐな髪を後頭部でひとつにまとめ、切れ長の同じ紺色の瞳。腕をくんで立つその姿は、楽に立っているようだが、隙がない。
引き締まった細身の体を、胴着のような動きやすそうな服でつつんでいる。
その胴着はファギヌと同じものだ。
それにファギヌが、
「聞こえちゃったか。」
と言って笑いかける。
その会話だけで、二人がほんとうに愛し合っているがわかる。
二人は夫婦だ。
お互いがお互いを大切にしながら、数々の戦場を超えてきたことが、二人の間の信頼関係が伝わってくるようだ。