zinma Ⅱ
従者の誕生
目を覚ますと、目の前は一面の夜空だった。
上半身を起こしてみると、そこはさっきの湖だった。
日はすっかり暮れてしまったらしい。
倒れたところから少し動かされ、木の下に寝かされていたようだ。
まだ少し痛む頭を押さえながら立ち上がり、周りを見渡す。
レイシアはいない。
もしかしたら、と不安になるが、レイシアの荷物がシギが寝ていたときに頭に敷かれていたらしく、残っていて安心する。
とりあえず湖に近づき、顔を洗う。
水に映る自分の姿が、まだ他人のようで、慣れない。
だがまた、その顔が父さんと母さんの血を濃く継いでいて、安心する。
濡れた顔を手で拭いながら立ち上がり、振り向く。
するとそこには、いつの間にか、レイシアが立っていた。
「おさまったようですね。」
静かで穏やかな声で、言う。
すると、昼間には目立たなくて気づかなかったものが、いまの暗闇の中では目につく。
レイシアの首にかかっている、首飾り。
先に、黄緑色に淡く光っているような石がついている。
レイシアはその視線に気づき、石を触り、微笑む。
「気になりますか?」
それに素直にうなずくと、レイシアが言う。
「お守りなんですよ。
聖なる森で、たまにしか見つけられない不思議な石なんです。」
そしてレイシアそれを大切そうに見つめる。
その姿を見つめてから、シギが聞く。
「いつ、発つんですか?」
それにレイシアは顔をあげる。
シギを見つめ微笑んでから、
「あなたの準備待ちです。」
と言う。
それにシギは、
「準備ならとっくにできてます。」
と答える。
それにレイシアは驚いたように目を見開いてから、聞く。
「村の方たちには?」
それにうなずきながら、
「ここに来る前に、天命だと言って説得してきました。」
そう。
ここに来る前に、シギは村の者たちを集めていた。