zinma Ⅱ




レイシアは夜空を見つめたまま、薄く微笑んでいる。

月光を浴びて、もともと色白の肌がさらに白く輝く。

わずかに吹く風にさらさらとゆれるプラチナの髪が、光を反射してきらきらと輝く。

首にかけたお守りだという石が、黄緑色に淡く光り、同じようにレイシアの目も光る。



その異常な美しさは、シギが自分のいる世界のおかしさを実感するのに充分なものだった。



見る人が見たら、天使。

また他の人が見たら、化け物。



この世界に飛び込む。


次自分が光を拝むことができるのは、いつになるのだろうか。





だがシギは決意を変えるつもりはなかった。



もう、決めたのだ。

両親が、歩んだ道を行くと。


この悲しい悪魔を、見届けると。



だがらシギは空を見上げる。

無数の星が美しく瞬く夜空を。

世界を謙虚に明るく照らす月を。

明日からはもう。
見ることのできない、この世界を。




そのシギの意思を読んだのか、レイシアがシギのほうに向き直り、静かに言う。



「改めて、私はレイシア・ホーリー。

神より道を授かった『選ばれしヒト』です。

これから、よろしくお願いします。」


シギは振り返り、そう言って微笑むレイシアの底のない瞳を見つめ、答える。



「シギ・サン。
ルミナ族の血を引く最後の一人。

『選ばれしヒト』の『従者』になるものです。」




それにまたレイシアは、はかなく、微笑んだ。











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