zinma Ⅱ
僕は二人のその様子を見るのが好きで、その二人に囲まれて過ごすのは、幸せだと思う。
そう、幸せだとは思う。
だが、幸せだとは感じない。
それに僕は、2年前からずっと胸にかけている、黄緑色に輝く石の首飾りを握る。
この2年で、思っていたよりも早く『選ばれしヒト』の意識が強くなっているようだ。
日に日に、人間らしい感情が減っていくのを感じる。
だが、感情を装うことはできる。
減っていく感情を、うわべだけで演じているうちに、どれが本当の感情か、自分でもわからなくなってきた。
でもそのおかげで、僕のこの最悪な運命にも、前ほどの絶望を感じなくなってきた。
だからこそ、こうして笑っていられる。
心はすごく、空っぽだけど。
そこで、いつものように会話していた師匠たちがこっちを向く。
カリアが、
「さて、それでは次は魔術の修行だ。」
それに僕は、はい、とうなずく。
ファギヌが、
「カリアは相変わらずスパルタだね。」
と笑う。
それに少しだけ拗ねたように、
「うるさい。」
とカリアが言うから、僕は笑う。
もう後戻りはできない運命だけれど。
その気持ちさえ、使命感で苦しくなくなったけど。
僕の中で僕を侵していく『選ばれしヒト』を僕は抑えながら、目の前の幸せだと思える光景を。
幸せだと、感じたかった。