zinma Ⅱ
次の日。
いつものように体術の訓練をしたシギとレイシアは、少し場所を変え、山の中の開けた場所に来ていた。
と、そこで。
「さて、今日から魔術の訓練を始めるわけですが、魔術を使ううえで一番大切なのは、魔力を意識することにあります。」
突然レイシアが話し始めるので、シギは驚く。
だがそんなシギをお構いなしに、レイシアは続ける。
「魔力とは神の子孫である私たち人間や、植物、大地、それらすべてにわずかに残る、神の遺伝子です。」
それにやっと話に着いて来たシギがうなずく。
それを確認すると、レイシアは続ける。
「その魔力を上手く自分に集中させ、形として放つことによって、私とあなたは魔術を使うことができるわけです。」
そこでレイシアは本当に自然な動きで右手を挙げ、くるくるとなめらかに指を動かす。
するとその指が動いた場所に、淡く光る魔方陣が描かれていく。
そして魔方陣が完成し光り輝くと、魔法陣の中央に小さな水の固まりが現れる。
そこまでで、水を留めたままレイシアが言う。
「いま私はただ空間に魔法陣を描いただけのように見えたでしょうが、実際はそうではありません。
魔法陣を描く前に、私たちはこの自然の中にある魔力と『共鳴』しなければなりません。」
「『共鳴』…?」
シギがそう聞くと、レイシアはうなずきながら、続ける。
「そう。『共鳴』です。
この『共鳴』ができるかどうかが、私たちと、魔術を使えない人々との違いです。
『共鳴』することで、私たちは魔力を感じ、さらに自由自在に操ることができる。
用は私たちの中にある神の力を使って、自然の中の神の力に反応を起こし、自然の中の魔力と意識を結合させるのです。」
そこまで聞いてシギは少し顔をしかめる。
話が難しすぎる。
理論はわかるのだ。
自分の血の中の力と、自然に含まれる力は同じものだから、同じもの同士反応し合う。
そして意識を溶け込ませる。
そんなことができるのだろうか。