zinma Ⅱ



その魔力から、伝わってくる。



この場所から少し進んだところに、魔力の塊がある。




その感覚を頼りに、真っ暗な森の中を進む。



するとそこは、なんでもない森だった。

世界は何もおかしくないけど。

そこにだけ、異常な量の魔力が集中していた。


おそらく、この先にレイシアがいる。



だが、どうやって入るのか。



さっきから何度か挑戦していたが、何度その先に進もうとしても、魔力の塊に押し戻されてしまうのだ。

前にレイシアの結界を見たときは、普通に入ることができたのだが。


そこでシギはだめもとで、その魔力に手を入れる。

そして、その場をどくように、魔力に指示を出す。

腕を動かすように、世界中の魔力に広がった自分の感覚に、指示を出す。



すると魔力は、あっさりとそこから消えた。



おそらくレイシアが、『共鳴』をしたならば解くことのできる簡単な結界を用意したのだろう。



シギは、足を進めた。












眩しくて、目が開かない。



シギは、目を開けられないでいた。




あまりにも膨大な魔力の塊が目の前にあって、魔力の輝きが、目が開けられないほどになっている。

まるで目の前に太陽が降りてきたような、異常な輝き。

このままでは目を潰されそうだったので、シギは『共鳴』を解く。

すると視界から魔力が消え、普通の人間の世界が目の前に広がっている。


森の中、滝だ。



小さな滝のある場所だった。



その滝壺の前の小さな湖の上に、レイシアはいた。

正確には、浮いていた。



レイシアは、水面から下半身のぶんほどの高さに、浮き上がり、空中に立っていた。

胸元に手を当てているのかと思っていたが、どうやらあの首にかけた石を握っているようだ。




それに言葉を失っていると、レイシアがこちらを振り向く。






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