zinma Ⅱ



「ああ、やっぱりあなたは優秀ですね。」


そう言って微笑む。浮いたまま。



それにシギは我に返り、軽く一列をする。



それを確認してから、レイシアは続ける。


「あと2、3日はかかるつもりでいましたが…。

やはりファギヌとカリアの血を引いているようですね。」

そう言ってレイシアは、自分の目の前の空間を見つめる。

何かが、見えているようだが、シギにはそれが見えない。


途端、レイシアの身体が降りてくる。

レイシアはまるで地面を歩くように、ゆっくりと一歩ずつ足を進める。

その度にレイシアの身体が、階段を一段ずつ降りるように地面に近づく。


その様子は、まるで神様が降臨したかのように、月光を浴びて、輝いている。



レイシアの足が、地面にたどり着く。



それを見届けてから、

「…それも『選ばれしヒト』の能力なんですか?」

シギが聞く。


するとそれにレイシアは驚いたような顔をしてシギを見てから、ははっと笑う。

そしてそのまま笑いながら、

「ちがいますよ。
これも魔術のうちです。」

そしてただの微笑みから、神秘的な底の見えない微笑みになって、続ける。


「それに、『選ばれしヒト』の力を使ったら、私がどうなるか。

あなたはわかっているでしょう?」



それにシギは、眉をよせる。

失言だった。


『選ばれしヒト』の代償。

力を使うことへの代償。


それを考えると……




そのシギの顔を見てまたレイシアは笑う。

「そんな顔、するものではありませんよ。

いまさら自分の身に何があろうと、私が動じるわけないじゃないですか。」


そう言ってから、いつものにこにこした笑顔に戻り、言う。


「いまの魔術も、あなたならすぐに使えるようになるでしょう。」


それにシギがレイシアのほうを見ると、レイシアがまた続ける。






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