zinma Ⅱ
「あなたは魔力を見ることに成功したでしょう?
魔力を見ることができれば、必然的に魔術の構成も『共鳴』によって見ることができます。」
そうレイシアが言うが、シギは、
「ですが、今師匠のほうを見ようとしましたが、『共鳴』状態では眩しくて見えません。
魔術を見るときは、いつもそうなんですか?」
そう聞くと、レイシアは驚いたように目を見開く。
それから考えこむように顎に触れながらうつむく。
「それは初めて聞きましたが…。
おそらくそれは私が『選ばれしヒト』だからでしょう。」
と言って、顔を上げシギを見る。
「『選ばれしヒト』は、神の力、すなわち魔力の結晶のようなものです。
交配を繰り返し、生き物の遺伝子と混ざりながら薄まっていった自然の中の魔力とは違い、『選ばれしヒト』は直接神の力を受け継いでいます。
それは人の血と混ざって薄まることはなく、神の力の塊を、一人の人間に無理矢理入れたものですからね。」
そのときのレイシアは、なぜか少し、切なげに見える。
「だからこそ魔力、すなわち神の力を、『輝き』として見ることのできる『共鳴』状態では、私の姿は眩しすぎるのかもしれませんね。」
そう言ってレイシアはまた微笑むと、
「ですがそれも今だけでしょう。
あなたの中の魔力を磨き、魔力を大きくすることができれば、強い魔力への抵抗力もつくでしょうから、今よりは魔力の輝きを眩しく思わなくなると思います。」
それにシギが、
「私の魔力が増せば増すだけ、師匠のことを『共鳴』状態でも見ることができるということですか?」
そう聞くとレイシアはうなずき、
「用は、目が光に慣れるのと同じようなことです。」
そして突然レイシアが手を振るう。
するとレイシアの足元から、レイシアの身体にまとわるように風がレイシアを周り、夜空へと消える。
その風が消えた夜空をレイシアは優しく微笑み、見つめている。
シギがそれを不思議に見ていると、レイシアがシギのほうを見て、言う。