zinma Ⅱ
演劇百面相
さらに3年。
もうこの小屋に来て、5年が経った。
いつの間にか、僕の身長もずいぶん伸びて、声変わりもしてきた。
5年前よりも低くなった景色を眺めながら、僕は本を読んでいた。
と、そこで、
「レイ、時間だ。」
と、声がかかる。カリアだ。
それに僕は、
「はい、師匠。」
と答えて、立ち上がる。
僕たちは小屋の外へ出ると、いつも修行に使っている、森の中の少し開けた場所まで行く。
するとそこには、ファギヌもいる。
こちらに気づき、微笑んでくる。
それに僕は、
「今日は二人同時なんですか?」
とカリアに聞く。
いつもなら、体術がファギヌ。魔術がカリアで、別々に修行していたからだ。
それにカリアはうなずくと、
「お前も今年で13。キニエラ族では、成人の儀式が行われる立派な大人だ。
体術も魔術も、もうほとんど完成に近づいている。」
そこまで言うと、次はファギヌが続ける。
「だが実際の戦闘では体術と魔術を上手く組み合わせてこそ、その力を発揮できるものだからね。
だから今日からは、僕たちを相手にして、体術と魔術を駆使した戦闘訓練をしようと思う。
あ、もちろん始めは僕たちのどちらか1人だけが相手だから。」
それに僕は、なるほど、とうなずく。
それにカリアが満足げにうなずき、
「では、始める。
今日の相手は、私だ。」