zinma Ⅱ
「これにもタネがありまして。」
そう言って、おどけるように肩をすくめレイシアは笑う。
「タネですか?」
そうシギは言うと、レイシアはそれには答えず、さっき風を放った荷物の方を見つめる。
するとさっき消えたと思っていた風が、レイシアのほうへと、かける。
そして風がレイシアにぶつかったかと思うと、風がレイシアに纏わり付き、レイシアの身体を浮かせる。
シギは驚いて、目を見開く。
初めて『共鳴』をしたときにも見た、浮遊の魔術。
あのときから疑問に思っていたのだ。
魔術はヒトに作用することはできないのだ。
『呪い』はヒトに作用する神の力。
魔術は自然に作用する神の力。
なのにレイシアはあのとき、浮遊に成功し、しかも『選ばれしヒト』の力ではないと言っていたが。
まさか、風の魔術だったとは。
そのころにはレイシアは地面から離れ、湖の真ん中のあたりに、立っていた。
「…風の魔術でそんなことができるんですか?」
わずかに振るえる声で、そうシギが聞く。
するとそれにレイシアは振り返り、小さく笑う。
「いいえ。これはただの風の魔術ではないんですよ。」
そう言ってから、こちらに手を指しのべ、言う。
「『共鳴』で、私を見てみてください。
いまのあなたなら、大丈夫。
以前のように、眩しくはないでしょう。」
その言葉にシギは一瞬ためらうが、従う。
集中し、世界に魔力を映し出す。
途端に目の前が眩しくなり、顔をしかめるが、なんとかこらえる。
確かに前ほどのまぶしさではなく、徐々に慣れ、レイシアのほうを見れるようになる。
少しずつ眩しい光の中から、レイシアの影が見えてくる。
するとそこには…