zinma Ⅱ
もう動けるはずなのに、シギはまだ動けないでいた。
目の前に、信じられない化け物が2人もいるのだ。
その様子にレイシアの影は小さく笑ってから、
「安心してください。
もう彼女はあなたを襲うことはありませんよ。」
と言う。
それにシギは聞く。
「…やはり、それは今私を襲おうとしたのですか?」
まだ声が振るえていることに、自分でも笑いそうになる。
「はい。
あなたの中の魔力が、『呪い』によるものだからでしょう。
自然の魔力に対し、ルミナ族の魔力は相反するもの。
だから警戒したのでしょうね。」
そのころにはシギは、なんとか眩しい光の中からレイシアの姿をうっすら見ることができるようになってきていた。
するとレイシアが何をしているのか、なんとか見えてくる。
レイシアは甘えるように擦り寄る妖精の髪をなでている。
それに妖精が、うれしそうにレイシアの手に頭を押し付ける。
その光景に、やっと緊張が解けてきたシギが、聞く。
「その妖精は、私にも召喚することができるようになりますか?」
それにレイシアが、考えるように頭を傾けるのがわかる。
「どうでしょうか…。
私が妖精を召喚できるようになったのは、自分の魔力がかなり高まってからですから、もしかしたらあなたも魔力を高めれば、いつか召喚できるかもしれませんね。」
しかしそれにまた妖精が、シギのほうを睨み、今にも飛び出しそうになる。
それをレイシアが片手で制しながら、困ったような顔になって言う。
「どうやら予想以上に彼女たちはあなたの中の『呪い』に敏感なようなので……。
相性が悪いかもしれませんね。」
そう言ってから、空中に立っていたレイシアが、跳ぶ。
それに妖精がレイシアに寄り添い、それと同時にレイシアを風が包む。
レイシアが地面に近づくのと同時、妖精がレイシアを抱くようにする。
そのおかげか、レイシアはふわりとシギの目の前に着地し、それに風が吹く。