zinma Ⅱ
そのシギの考えを読んだように、レイシアがうなずいてから言う。
「もちろん、いつかは存在していたでしょうね。
でなければ、私一人の力で生き物を生み出すなど、不可能ですから。」
それから、続ける。
「とにかく、私が魔力を集めて妖精ができるということは、もちろん私が他の魔術を使おうとすれば他の妖精も生まれるんです。
見てください。」
そう言ってレイシアがまた素早く魔法陣を描き始めるので、咄嗟にシギは『共鳴』状態になる。
それにレイシアは薄く微笑んでから、
「いきますよ。」
と言い、魔術を発動する。
すると魔法陣がきらめいたかと思うと、レイシアの背後の湖から、人と同じくらいの水の塊が飛び出し、たくさんの水しぶきとなってレイシアを囲む。
普通の人間には、まるでカーテンのようにレイシアの回りを水しぶきが舞っているようにしか見えないが、シギには見えていた。
また、女神だ。
さっきの風の妖精と同じように美しい女神。
しかしその身体は次は水色の輝く粒によって構成されている。
長い髪がゆらめき、足は足ではなく、ヒレになっていて、むしろ人魚といった容姿だ。
微笑みをたたえたその顔は、やはり美しい。
「彼女が、水の妖精。」
そしてまたもう片方の手で、別の魔法陣を描く。
すると魔法陣の中央に炎が現れ、またレイシアの回りに浮かぶ。
炎の妖精が現れる。
ゆらゆらと泳ぐように浮かんでいる水の妖精とはちがい、しっかりと地に足をつき、まっすぐにシギのほうを見ている。
次は、赤い魔力の粒によって構成され、髪は炎のように逆立っている。
目の前の光景にシギが目を白黒させていると、レイシアが言う。
「と、まあこんな感じです。」