もうひとつの卒業
「初めてだったの?」

何度目かのセックスの後で、早苗が拓馬のペニスを手でもてあそびなら聞いた。


「恥ずかしいけど、そうだよ。

早苗が僕の初めての女性。

美鈴とは、最後まで行けなかったんだ。

今考えると不思議だけど、やり方がわからなかった訳じゃないけど、どうしても踏み出せなかった」


「知らなかったわ。

あなたと美鈴さんがつきあっていたなんて」

「有名な話だぜ」

「あのバスケのコートで私は、ただ居るだけだったの。

心は違う場所に居たわ」


「たとえば、何処に居たの?」


「小学校の頃の、デパートの中とか」
< 105 / 235 >

この作品をシェア

pagetop