もうひとつの卒業
拓馬と早苗が関係を持ってから一カ月が経とうとしていた。


美鈴は、久しぶりに中学の同級生に会っていた。


加奈と龍一。


「二人が付き合っているなんて知らなかったわ」

美鈴が加奈を見ながら言った。

龍一は、横で照れ笑いをしている。


「美鈴こそ、拓馬と付き合っているんでしょ!いつからなの?」


「高校に入ってからよ。

お互い寂しかったしね」


本当は卒業式からだと美鈴は言いたかったけど、嘘をついた。

加奈が中学の間ずっと、拓馬の事が好きだった事を、知っていたからだ。


そしてたぶん、今も。
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