もうひとつの卒業
美鈴は拓馬にうながされて家路についた。

校門を出ると、
うっそうと茂った樹木に囲まれた小道が続き、
そこを抜けると
一気に海が広がる。

美鈴はその解放感が好きだった。


「海!」

美鈴が叫んだ。

「なんだよ。回復早いぞ!」

拓馬はあきれた声で答える。

「だって、
さっきは悲しかったんだもん」

「みんなにはすぐに会えるよ。
同じ島に住んでるんだし」

「そうだね」

「そうだよ」

美鈴は、
どうして自分が泣いたか
全く分かって無い拓馬に少し
腹がたった。
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