もうひとつの卒業
「答辞。良かったよ」

拓馬は美鈴の前を歩きながら
振り返りもせずに言った。

「終わったあと、目が合ったね」

「ああ、心配してたんだ。
とちるんじゃないかって」

「私が失敗したことある?」

「そういえば、無いね」

前を歩いていた拓馬はゆっくりと振り返って
美鈴の方を向き直った。
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