もうひとつの卒業
「これ、やるよ」

拓馬が差し出したものは、
金メッキのはがれた
ボタンだった。

「加奈にあげたんじゃないの?」

「取られるところだったけど、死守したよ」

「私に貰って欲しいの?」

「どうも、そうらしい」

「私達、気が合うね。
私も欲しいって思ってたんだ」

「早く言えよ。美鈴はいつも、
肝心な事を言わないんだから」
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