もうひとつの卒業
準決勝の終了の笛が鳴ると、部員全員がコートの中央で歓喜した。

早苗は、コートの外でその風景をぼんやり眺めた。


若さ、と思った。

何のちゅうちょもなく、若さを無防備に満喫出来る時代。

残念ながら、彼らが満喫している若さを早苗は、持った事がなかった。

人生で一番大事な部分が損なわれていた。

彼らの事をうらやましい、と思った。
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