もうひとつの卒業
「じゃあ、ついでに、
ひとこと言わせてくれる!
ずっと好きだったの。
小さい時から。
ずっとよ。
一緒にお風呂に入ったり、
夕食を食べたりしている時から、
恋い焦がれてた。
思いが激しくて、
とても苦しいの。
どうにかして」

拓馬はとても驚いた。
あまりにも真っすぐな
美鈴の視線に。


「このボタンは、
誰にも取られないように
朝から持っていたんだ。
美鈴のように
上手く言えないけど、
そういうことだよ」


「なんだ、そういうことか」

美鈴はそう言った後、
また泣き出した。
それは、家に帰り着いても終わらなかった。
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