もうひとつの卒業
ホテルの宴会場に入ると、早苗は拍手に包まれた。


バスケ部全員が、早苗の帰りを待っていた。

何人かは浴衣を着てリラックスしていた。

残りの何人かはジャージのままだ。

全員がにこやかで、早苗にどうして意識を失ったのかなんて聞いてくる生徒は居なかった。

早苗はほっと胸をなでおろし、壇上に立った。

まだ、あどけない顔。

子供なのだと思った。

ここに居る全員が。

拓馬も含めて。
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