もうひとつの卒業
早苗は気分がすぐれないからと、夕食を中座した。


昼間、倒れた事を知っている全員が、静かに見送った。


部屋へ帰ると早苗は帰り支度をした。


「みんなには、やっぱり言えない。

黙ってこのまま、去ってしまおう」


美鈴の無邪気な顔が浮かんだ。

そして、拓馬のすべすべした体を思い出して首を横に振った。
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