もうひとつの卒業
美鈴は食事が始まってから、ずっとうつむいたままだった。


しばらくして拓馬が横に座った。


「さっきから、どうしたんだ?」

美鈴は、顔を上げた。

拓馬はハッとした。

美鈴が泣いていたのだ。



「拓馬。

これは、みんなには言わないでね。

そっとしてあげてね。

絶対に約束できる?」


拓馬は今から何が語られるのか見当もたたなかった。

だけども、ただならぬ事であることは理解できた。


そして大きくうなずいて見せた。
< 164 / 235 >

この作品をシェア

pagetop