もうひとつの卒業
「美鈴!」


拓馬はこの場から立ち去ろうとする美鈴の腕を取ろうとするが、一瞬の差で逃してしまう。


美鈴は無我夢中で階段を駆け登った。

全てのものから逃れるために。


拓馬の背中が目に焼き付いていた。

拓馬の背中に手を回す早苗の姿も。

二人の声も耳から離れなかった。

愛を語らう動物のような声。

拓馬がセックスを拒み続けた理由が今更わかった。

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