もうひとつの卒業
故郷である島に帰る事も拓馬には許されなかった。
小さな島で噂は一気に広がり、拓馬の家族でさえ、居場所を追われたからだ。
拓馬は家族と別れる決心をした。
これ以上迷惑をかけられないと思った。
自分と一緒に居たら、永遠に父と母は島に戻れなくなってしまう。
縁を切るべきなのだ。
拓馬は家族で移り住んだアパートを出て行った。
ひっそりと。
朝焼けの綺麗な日だった。
向かう場所は一つしかなかった。