もうひとつの卒業
拓馬は、ドアをノックした。

ドア越しに早苗の名前を何度も呼んだ。

今にも背後から誰かがやってきて罵声を浴びせられそうだった。


静かな、とても小さな衣擦れの音がして、しばらくしてドアが開いた。

早苗の憔悴しきった顔がドアの隙間から見えた。
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