もうひとつの卒業
拓馬は変わり果てた部屋を目の当たりにした。

建具は鋭い刃物で打ち砕かれ、丁番は外れ、原型を留どめず大きく傾いていた。


壁紙は切り裂かれ、大きな穴が何カ所も空き、キッチンはなぎ倒され、配水管が剥き出しになっていた。


「どうしたの?これ」


拓馬はやっとの思いで声を出した。

自分の知らない所で行われていた行為が重くのしかかった。
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