もうひとつの卒業
早苗はさらに言葉を続けた。
「その前の日も、そのまた前の日も、毎日何人もの人が来たわ。
知っている人も、知らない人も。
みんな、色んなものを置いて行った。
汚い言葉や、汚い物。
どれも仕方の無いもの。
私が犯した罪に比べれば、取るに足らない事よ。
誰にどれだけのことを言われても、されても仕方がないわ。
でも、私の父や母に罪は無い。
私をここまで育ててくれた両親には何の落ち度も無い。
それなのに、彼らは父や母を傷つけた。
誰がどうやって調べたか解らないけれど、傷つけた。
それでも黙って耐えなければいけない事実って何?
私はもう、居ちゃいけない人間なのよ。
この世に居てはいけない人なの」
早苗はそこまで話すと、大きなため息をついた。
それは何処までも深く、落ちて行った。
拓馬は、弱りきった早苗の肩を抱いた。
小さくなっていた。
それは今にも壊れてしまいそうだった。
「その前の日も、そのまた前の日も、毎日何人もの人が来たわ。
知っている人も、知らない人も。
みんな、色んなものを置いて行った。
汚い言葉や、汚い物。
どれも仕方の無いもの。
私が犯した罪に比べれば、取るに足らない事よ。
誰にどれだけのことを言われても、されても仕方がないわ。
でも、私の父や母に罪は無い。
私をここまで育ててくれた両親には何の落ち度も無い。
それなのに、彼らは父や母を傷つけた。
誰がどうやって調べたか解らないけれど、傷つけた。
それでも黙って耐えなければいけない事実って何?
私はもう、居ちゃいけない人間なのよ。
この世に居てはいけない人なの」
早苗はそこまで話すと、大きなため息をついた。
それは何処までも深く、落ちて行った。
拓馬は、弱りきった早苗の肩を抱いた。
小さくなっていた。
それは今にも壊れてしまいそうだった。