もうひとつの卒業
「拓馬。

私から卒業しないのね。

私から卒業させてあげたかった。

他のもっと多くのものを拓馬に見せてあげたかった。

私が失った青春を拓馬には体験して欲しかった。

でも、私達は大きな罪を犯した。

償えないほどの大きな罪を。

あなたを巻き込んでしまって、ごめんなさい。

私、拓馬のものになるわ。

二人の心と体を織り交ぜて、私達、一つになりましょう」


早苗と拓馬はその夜、二人一緒に泣き通したけれど、行く方向が決まったことで、涙が枯れると久しぶりに熟睡することが出来た。

朝まで一度も起きなかった。
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