もうひとつの卒業
「慣れるのに
時間がかかりそう」

美鈴は船のエンジンの音に
かき消されないように
大声で拓馬に言った。

「すぐに慣れるよ。
今日は波が荒いんだ」

漁師の息子は、
漁師の息子的に答えた。

「側に居ることによ」

と言いたかったけど
美鈴は言葉を飲み込んだ。

これ以上は胸がいっぱいで
何も言えなかった。
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