もうひとつの卒業
二人は部屋に戻った。

そして落ち着きを取り戻すと早苗は薬局に走り、再び部屋に戻ると洗面所にカギをかけて、そのまま出てこなかった。


一通りの時間が流れた。


しかるべきかかる時間。

ある結論が出るべくして、かかる時間。

世の中にはそういった種類の時間が存在する。

決して長くはないが、濃密な固まりで、無抵抗にさせられ、黙って待つしかない時間。

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