もうひとつの卒業
「見て。あれが私の下宿先
おじさんのところなの」

隣町に着くと、
駄菓子屋が1階にある
古い建物を指差し
美鈴が言った。


「この街に親戚が居たんだ」

この街に親戚のいない拓馬は力なく言った。

「拓馬はどこに住むの?」

「ああ、俺は寮だよ。
高校のすぐ側。
ちょっと行ってみるか」

そう言うと拓馬は歩き出した。
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