もうひとつの卒業
早苗は、話し終わると再び自分の腹に手を置いた。


拓馬は早苗を見た。

そして早苗のこれまで背負って来たものを感じた。

早苗の手に自分の手を置き、自分の子供に手をかざした。


「この中に居るんだね。

僕たちの子供が。

奇跡的に宿って生きている」


拓馬は実感した。

手のひらが熱くなり、鼓動が伝わった気がした。


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