もうひとつの卒業
早苗は真っ直ぐ前を向き、待っていた。


遠くに見える人影は段々と大きくなり、やがて姿がはっきりとわかるまでになった。


とても美しい顔。

でも一年前の少年のあどけなさは消えていた。


辛かったであろう日々の生活が、幼さを何処かへ押しやったのだ。

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