もうひとつの卒業
その日がやってきたのは、高校の入学式を3日後に控えた、よく晴れた日だった。


いつものように二人は朝から隣町まで来ていた。


島で二人きりで会うのは、友達を裏切ってるようで、気が進まなかったからだ。


その日は高校の近くの堤防を、あてもなく歩いていた。

それだけで十分楽しかった。

突然、雨に降られた。


「私の下宿で、雨宿りしましょう」

美鈴は拓馬の手を取って
走りだした。


雷鳴が轟き、
小走りがダッシュになった。
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