もうひとつの卒業
優雅に動作する男の体は、窮屈そうなシャツを器用に剥がしていく。

美鈴はスローモーションを見ている気がした。


「美鈴も服脱げよ。
ずぶ濡れじゃん」

拓馬が見下ろしている。


「うん」

と言ったあとで、それが何を意味しているのか美鈴は理解した。



濃密は時間が始まろうとしていた。
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