もうひとつの卒業
拓馬は美しかった。

島で一番の美少年だった。
それに比べて美鈴は、
とても奇麗だとは言えなかった。
頭の良さと優しさで
人望はあったし、
発育も良かったが
誰が見ても十人並みの容姿だった。

全校生徒が60人足らずの小さな中学校。
拓馬と美鈴はこの小さな島で育った。

春になると隣町の高校に進学る。
奇麗な人がたくさんいるはずだ。
美鈴は焦っていた。

いつまでも眠れなかった。
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