もうひとつの卒業
「美鈴。何をしてるの?」

「え?着替えの服が全く無いの。困るわ。あるはずなのに」

一緒に捜しはじめた拓馬の視線が、美鈴の胸に注がれた。

隆起した胸の稜線の影が、その大きさを物語っていた。


「これでいいじゃん」

拓馬は厚手のシーツを別の段ボールから引っ張り出した。


「このままじゃ、風邪を引くよ。こっちへおいで」

拓馬は美鈴の肩に手を回して抱き寄せた。


二人はすっぽりとシーツに包まれた。

美鈴の体に拓馬の体温が伝わった。
< 30 / 235 >

この作品をシェア

pagetop