もうひとつの卒業
卒業式は順調に進んだ。

在校生代表が送辞を述べた後、
美鈴が答辞を述べた。

壇上から降りる時、拓馬と目が合った。

うつむき加減の顔から見上げる眼差しが、目の奥に突き刺さって痛かった。

一瞬、拓馬が笑ったように見えた。

「本当に美しい男だ」

そう思って、
答辞を述べる時よりもドキドキした。
< 5 / 235 >

この作品をシェア

pagetop