もうひとつの卒業
「美鈴、何があったんだ?」

逆に拓馬の方から質問されてしまった。

「何がって?何もなかったけど。何も無い帰省だったわ」

拓馬はため息をついた。

長いため息だった。

それから、拓馬は声をひそめて言った。

「裕也と美鈴が、付き合ってるって、うわさになってる」

美鈴は声も出ないほど驚いた。

体が固まって、のどがカラカラに乾いた。
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