もうひとつの卒業
「裕也とは、何もないわ。ただ、手紙で告白されただけ。メールで、何度か話した。でも、それだけよ。二人きりで逢おうって言われたけど、逢ってない。何もないわ。信じて!」


「そっか。そんな事があったんだ。知らなかった。教えてくれてたら、もっと安心出来たのに」


「私を疑った?」


「いや。ぜんぜん」


「一瞬も?」


「ああ。みじんも」


「拓馬。愛しているわ」


二人は熱く抱擁した。

随分、長い間。



それを遮ったのは、大きな歓声だった。

それは、体育館に響き渡り、二人は公然の仲となった。
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