もうひとつの卒業
喋り続けていた美鈴がトイレに立つ。

拓馬は、再び通りに目をやった。

一人の女性がカフェテラスで煙草をふかしていた。

本を読みながら、時折り髪をかきあげ、白い煙を、赤く小さな唇から吐き出していた。

拓馬はファインダーをのぞき、その女性にピントを合わせた。

シャッターを押すと、小気味良い連写音が鳴った。

なおさらにズームにする。
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