もうひとつの卒業
解散のあと、拓馬は一人で街をぶらついた。

何かがしっくりしなかった。

もやもやとした雰囲気に包まれたが、それが何かわからなかった。


スターバックスに入ると窓側の席に座った。

ウィンドウ越しに外を見ると、早苗先生が座っていた。

一瞬ちゅうちょしたが、拓馬は席をたって早苗先生の席に移った。


早苗は顔を上げると、まだ吸い始めた長いタバコを折らずに静かにもみ消した。

座り直して拓馬の顔を真っすぐに見た。


美しい顔だと早苗は思った。
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