もうひとつの卒業
「先生。試合に負けたのは、先生のせいじゃありません。

なるべくしてなった結果です。

僕らは勝ちたいという意志が希薄だったんです。

現に負けても誰も涙を流していませんでした。

もしも僕らが本気で練習に取り組んでいたら、そして結果が同じであれば、みんなの反応は違ったと思います。

きっと、みんなボロボロに泣いていた」


「だから、君は泣いていたんだ」

早苗はほおづえをつきながら、
真っすぐ拓馬の瞳をのぞき込んだ。


拓馬は心の中を見透かされているようで恥ずかしかった。

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