もうひとつの卒業
拓馬と美鈴が
特に仲の良い理由の一つは
家が隣同士だからだった。

小さな頃はよく
一緒にお風呂に入った。

他の女の子達とは
一線を画しているという自負が美鈴にないでもなかった。

ただ、そのことが何の役にも立たないこともわかっていた。


「でも、少しくらい私の事を
特別に見てくれても良いのに」


美鈴は楽しそうに
会話する自分が、
だんだんと悲しくなってきて
涙があとからあとから
流れてきた。
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