もうひとつの卒業
「やめて」

早苗は声をふりしぼって訴えた。


「いいんだな。

そんな事を言って。

俺が居ないと困るんだろ?」

早苗は体の力が一気に抜けて、抵抗するのをやめた。


佐々木も締め付けていた筋肉を緩めた。


「優しくして」

と言って、早苗が目をつぶると、佐々木も目をつぶった。


唇と唇の間は100ミリもなかった。
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