もうひとつの卒業
「早苗先生、今日も休みだって」

バスケの練習が始まって最初の休憩のときに美鈴は拓馬に言った。

拓馬は、無関心を装っていたけれど、顔がこわばって上手く誤魔化せなかった。


「気になる?」

美鈴は追い打ちをかけるように顔を覗き込んだ。


「気にはならないけど、心配だよな。

今日で一週間だろ」


「お見舞いに行ったら?

キャプテンとして」

「そうだな」

拓馬はあいまいにうなずいた。


でも、そうしようと、心に決めた。
< 92 / 235 >

この作品をシェア

pagetop