もうひとつの卒業
玄関ドアをノックすると、しばらくして早苗がドアを開けた。


「どうしたの?」

早苗は突然の拓馬の訪問にびっくりした。

「先生こそ、どうしたんですか?

そのアザ」


早苗は思い出したように顔の傷を押さえて、拓馬に中へ入るように促した。


「転んだだけなの。

たいした事ないわ」

早苗は冷たいアイスコーヒーを出しながら拓馬に言い訳をした。

でも、その傷が転んで出来た傷でないことくらいは、拓馬にでもわかった。
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