もうひとつの卒業
「きっと、あわてて探しているのね。何処に置いたか解らなくなって」

早苗はドジな教え子を思って、おかしくなった。


五回ほどコールが鳴った後で、携帯電話を開いた。

発信先は美鈴だった。

彼女の笑顔が名前と一緒にディスプレーに表示されていた。


「バスケット部のマネージャーだわ」

と思った。


早苗は少し迷ったが、出ないことにした。

どんな小さなトラブルにも、巻き込まれたくなかったからだ。
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