あなたの恋人になりたいのです。
やっぱり。
玄関で上靴を外靴に履きかえる私。
私は靴を履くのが非常に遅い。
だから三浦先輩はとっくの間にもう靴を履いていた。
「咲希、遅いーーー」
わざとらしく文句を私にぶつける先輩。
「すいませーーん!」
謝ることしか出来ない私。
靴紐を必死に結んでいると
「オマエ不器用すぎ・・・」
そう言って、私の手を払いのけ、先輩が靴紐を結んでくれた。
「俺の方が結ぶの早いってどういうことよ(笑)」
また相変わらず、あの笑顔で私を包み込む先輩。
ダメだよ・・・。
私にそんな顔しないで・・・。
もっと好きになっちゃう。
そんな私の気持ちも知らないで先輩は
「どこ行くかあ・・・ゲーセン?」なんてのんきなことを言ってる。
「どこでもいいですよ」
「どこでもいいが1番困るーー・・・あ!亮太誘うか!」
「え?」
亮太。
その名前を聞いたとき、あのときのことが頭に蘇った。
「なした?嫌?」
「嫌・・・別にそんなわけじゃないです・・・」
そう言い返すことしか出来なかった。